ボトルサイズと熟成の関係

 最近、熟成のことを再調査した。調べたきっかけが、「ビールはマグナムボトルの方が美味しい。」というWeb記事をみたから。ボトルの大きさは気にしたことなかったのだが、どうもそれは定説らしい。あれ?だったら自分も大瓶でボトルコンディションした方がいいんじゃないのと思った。でもなんで大瓶の方がおいしいのだろう?その記事が言うには、大瓶の方が酵母のストレスがなくて、熟成がより深く進むのだそうだ。うーんよく解らない。

 

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写真は、我が家で一番大きい1ℓ瓶と一番小さい12oz瓶

 

 意味が解らなかった理由は2つある。

理由1:発酵容器の大きさが酵母のストレスと関係するなら、小規模ビールメーカは大手のビールの味に一生勝てない。ましてやホームブリュワーは足元にも及ばない。が、実際はそうでもない。

理由2:ボトルコンディションの前で、ほぼほぼビールの味は決まっていると思っていた。まさかベルギービールの大手が一次発酵終わった後、速攻で瓶詰していると思えない。しっかりと2次発酵まで終えてからボトリングしているなら、そこから大瓶と小瓶に分かれたってそんなに味はかわらないだろ。

 そんなわけでいろいろ調べた。そもそも「熟成がより進む」とはどういう状態なのだろう。自分のそれまでの知識では、熟成はオフフレーバを減らしていくことだと思っていた。今一度勉強しなおすことにした。一番わかりやすかったのがここ。BYO。

byo.com

冒頭に書かれていたこの一文が新鮮だった。

There are three main goals of maturation — flavor development, clarification and carbonation.

 熟成のゴールには、フレーバー造りと、清澄とカーボネーションの3つがあるとのことだ。自分はフレーバーのことしか考えてなかった。清澄は味に関係ないので今回は除外するとして、大瓶と小瓶でそれぞれ違いが出てくる要素がないか調べてみた。

 フレーバーに関しては、VDK、DMS、アセトアルデヒドなどのオフフレーバーは、ほぼほぼ2次発酵終了時にはコントロールされてそうだ。なので、ボトリング後により進むとかないのではないだろうか。それにたいして日光臭やイーストの自己分解によるオフフレーバーはそれぞれのボトルによって違う気がする。小瓶の方がビール容量に対する表面の割合が大きいので日光臭が付きやすそうだ。また、温度変化や振動が大きくイーストが死にやすいことは容易に想像できる。

 次にカーボネーションについて。ここに答えが書いてあった。

www.homebrewtalk.com

 

Simple. It's the ratio of contact area just like in a keg. The c02 will need to pressurize the head space (Which takes LESS TIME) in a bigger bottle (More Yeast and sugar, roughly the same head space) but then it has to force that c02 into solution through the same contact area...thus it takes longer.

 大瓶と小瓶では、同じヘッドスペースのコンタクトエリアから液体中にCO2を溶け込ませるのだから大瓶の方が時間がかかる。ってことだ。納得。熟成がゆっくり進むってこれのこと?だとしたら、小瓶の方が飲み頃が早いというだけ。

 

  以上から考えると、大瓶の方が劣化に強く、ブリュワリーが求めた味に近いってことなんじゃないかな。熟成が進むなんたらは、聞こえはいいが科学的な根拠が見つからない。輸送を考えなくていいホームブリュワーにとって大瓶小瓶は気にしなくていいってこと。むしろ小瓶の方が飲み頃が早いってことになる。

 

以上。