レシピ構築(初期比重編)

※Target OGの計算式に暗黙的に-1が含まれていて正確でないため更新

※マッシュ効率について更新 2017/9

 何度も醸造を繰り返していると、自分なりのレシピを作りたくなってくる。もっとローアルコールにしたい、苦くしたい、ボディを強くしたいなどなど。そう思ったら自分なりに調整するしかない。レシピを作るために必要な基本計算がある。それが以下。

・初期比重の計算式

・ビールの色の計算式

・苦み単位IBUの計算式

 

 世の中はインターネット様さまで、ググればレシピ作製用のWebツールがゴロゴロ落ちているのでそれを使えばいい。自分も初めはそうしていた。だけどいちいちネット見るのも面倒なので、エクセルで保有材料の管理をしながらレシピ構築もできるように整えた。やはり自分なりにカスタマイズできるのが一番だ。そんなわけで今日は、自分が勉強した計算式を紹介する。参考にしていただき、みなさんの醸造システムに合わせてカスタマイズしていただければとおもう。今日は初期比重の計算式だ。

 

 初期比重の計算はモルトが持つ糖保有量を知っていれば簡単だ。34~38くらいの数字でPPG単位で表記される。PPGはPoints/Pound/Gallonの略で、1ガロンの水で1ポンドのモルトを仕込んだときに達成する比重のことで、36なら1.036ということ。使用するモルトのPPG値はMalt ChartでググればいろいろなWebでまとめているのでそちら参照。例えばこことか。

Grain Reference

  この表を例にして先を説明する。

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 各モルトの糖の含量がpotential SG列で記載されている。表のPale Malt (2Row) USを例にとると、1.036と書かれている。Pale Malt (2Row) USを1ポンド、1ガロンの水で仕込むとOGは1.036ということだ。

というわけで計算は以下になる。

 

OG = ( (potential SG -1)  × malt size (Lb)  /  batch size (Gallon)  )+ 1

 

※計算を簡略化するために、Potential SG=36として、以下の式にしたほうが使い勝手が良い。以降はこの式で説明を続ける。

OG =  potential SG   × malt size (Lb)  /  batch size (Gallon)  

 

 この式でOGの計算は完成ではない。ここにある係数をかける必要がある。mash efficiencyだ。SGはモルトが持つ糖の理想値であり、モルトをマッシングした結果、100%糖化できた場合の値だ。実際には70~80%くらいしかモルトから糖分を取り出せない。これをMash efficiency(マッシュ効率)という。自分は最高97%、最近の平均では85%だ。この値を考慮する必要がある。マッシュ効率は醸造システムによって変わってくるので、何度か醸造してみて、自分の環境にあった数値に微調整する必要がある。

 

というわけで、以下がターゲットOGの計算式。

Target OG = (  potential SG * malt size (Lb)  * Mash effiency(%)/100  )  /   batch size (Gallon)   

 

 

例:Pale Malt (2Row) US を5ポンド、マッシュ効率70%、ボイル後3ガロン時の比重は

36 * 5 * 0.7 / 3 =  42

42ってことで、1.042が初期比重だ。

モルトを複数使うときは、モルト毎で算出されるOGを足せばいい。

 

ここまで理解できれば、ターゲット初期比重から、レシピのモルト量を見積もるのは逆をやればいいだけ。以下のようにターゲットOG、バッチサイズ、使用するモルトの構成比だけ決めておけば、

ターゲットOG 1.060

バッチサイズ 3ガロン

モルトA 36 90%

モルトB 32 5%

モルトC 34 5%

下記でモルトの総重量が求まり、

総重量(ポンド) = 60/ ( 36 * 0.9 + 32 *0.05 + 34 * 0.05 ) * 3  

総重量をモルトA~Bの構成比に従って分けてあげればいい。エクセルで一発だ。

 

 以上。