酵母について勉強してみた。勉強に使った参考書はこちら。
Amazonで調べたら、中古8700円って・・・。どうやら増刷していないようで手に入りにくくなっているようだ。自分は図書館で借りてきた。他に、Webで見れる論文とかをつまみ読み。
まだいろいろ理解できていないし間違いだらけだと思うけど、備忘録という感じで残しておく。また、現時点での疑問も残しておく。
・酵母の増殖について
1.適応期⇒2.対数増殖期⇒3.生育減衰期⇒4.定常期
菌数が増殖するのは「対数増殖期」で、「生育減衰期」で頭打ち。「定常期」は菌濃度が一定に保たれるが、浮遊酵母は増殖期の途中から減っていく。ビール酵母は2回出芽を行い、4倍に増殖する(え?それだけなの?)。
・酵母の呼吸について
ビール酵母(S.cerevisiae)は、とにかく発酵する。パスツール効果(酸素が多いときは好気になって発酵が抑制される)は関係ないらしい。ただ、上述の「適応期」は増殖準備期間として、好気呼吸してるとのこと。また、通気培養させることにより、収率が大幅に上がることが、パスツール時代にわかった。
疑問:適応期に酵母がやっていることって何だろう?なんの準備をしているの?保存中の酵母は、温度が高いと貯蔵炭水化物が消費されてしまうと書いていたので、炭水化物の準備なのだろうか。
・発酵時の高級アルコール類の生成について
高級アルコール類は、アミノ酸代謝時に発生する。要するに、アミノ酸代謝が起きる酵母の増殖期に起きる。(1次発酵の前半期)
また、アミノ酸代謝には順番があって、順調に進まないと特定のアミノ酸が残る。しかし、アミノ酸消費が旺盛でも低調でも、アセト乳酸(ダイアセチルの元)濃度が高くなり、2次発酵の長さに影響するので、発酵のコントロールが大事。
・発酵時のエステル類の生成について
エステルは、TCAサイクル停止で生成が始まると言われている。ということで、酵母が「定常期」に入りかけたタイミングで生成が行われる(1次発酵の後半)。溶存酸素や不飽和脂肪酸の濃度が高いと、増殖期が長くなるので、エステル生成が少なくなる(これがエアレーション少なくするとエステル大の理由)。また、不飽和脂肪酸は麦汁の混濁と関係するので、透明度が高いほうがエステルが高い。脂肪酸のエステル生成制御メカニズムはよくわかっていないが、酵母が弱った状態で発酵を続けると多く生成される。
・酵母の世代と更新について
ビール酵母を何回も使う中で、野生酵母が入るのは防げない。酢酸菌などが作り出す酢酸はビール酵母を殺し、世代を繰り返す中でそれらの性質の強い菌が比率を上げていく。なので、いつかは純粋培養イーストに更新しなければならない(WyeastやWhiteLabの推奨では8世代くらいが目安とのこと)。酢酸菌は好気性のため、麦汁表面に膜をはる。(なんか最近見た覚えが・・・)。
以上。
さて、最近醸造したIPAなのだがWLP090のスターターがコンタミしてしまった(ラグニタスIPA培養イーストとは別の話)。スタータの時点で少し酸っぱいかな?と思っていたのだが、心地よいビールの味もしたので、そのまま投入。しかし、2次発酵容器に移す際の味見で、舌に苦みを残す酸っぱさに支配されてしまった。ビールの苦みはタンパク質と結合しているので、舌の上の味蕾のたんぱく質とは結合せずに後味がないとのことだが、それとは真逆。いつまでも舌をびりびりとさせる最悪な苦さ。ああコンタミだ。もう、我が家在来菌のコイツの味を覚えた。
この原因だが、夏休みにビールを仕込む予定日をスキップした際に、スタータを放置してしまったことが原因だろう。スターターはアルコールに浸っているので大丈夫だろうと勘違いしていた。スターターはpH値は低くないし、酵母から排出されるアミノ酸などで菌汚染の確率は高いのだそうだ。アルコールを酢酸に変換する酢酸菌にとっては楽勝なのだろう。
今まで独りで暮らしの生活の中で、今と同じような醸造作業していて、コンタミなんて起きるのだろうか?と思っていたが、複数人(+犬)が出たり入ったりする今の古い家では、簡単にコンタミが起きるんだなと反省。酵母の取り扱いには細心の注意が使用だ。