ボディチャレンジ(Ver201810)

 

 昨年、CaraPils(デキストリンモルト)を80%使ったレシピが低FGになってしまい、デキストリンとは何ぞや?と首を傾げたのがこちらの記事。

vvm.hatenablog.com

 

 最近思うことは、モルトの中にいるアミラーゼ酵素は想像以上に働き者。ベースモルトの割合が低かろうが温度が少しばかり高かろうが、元気にチョキチョキとデキストリンを切ってしまうと感じていた。そんなとこへ、酵素が死んでしまう高温でクリスタルモルトをスティーピングするのがボディ強化によいのでは?という情報をもらったので、今回ボディチャレンジと銘打って試してみた。

 

実験方法はこう。

  1. ベースモルトを通常マッシングして、14リットルのウォートを作成
  2. マッシュアウトは10m@76℃で、しっかりと酵素を失活させる
  3. 二つの鍋A/B に、ウォートを7リットルずつ分ける
  4. C40とC80を使ったスティーピングを77℃で実施
  5. ティーピングした水溶液2リットルを鍋Aに追加
  6. 「4」と同糖度になるグラニュー糖を入れた水溶液2リットルを鍋Bに追加
  7. その後はいつも通りボイルして冷却し、同じイーストを投入

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  これで、AバッチがBバッチに比べて高比重になれば、酵素失活後の高温スティーピングはボディ強化に有効だということになる。

 一応レシピをUPしておく。カラメルモルトはスティーピングしかしていないので、構成比に対して糖化効率が悪い。もったいない使い方をした。

 

Batch Size

 バッチA 6.5リットル

 バッチB 6.5リットル

 

malt

 バッチA

  ピルスナー   78%

  クリスタルC40 11%

  クリスタルC80 11%

  SRM=12.8

  バッチB

  ピルスナー   94%

  グラニュー糖    6% 

  SRM=3.7

  ※けっこうな量のクリスタルモルトを使ったのだが、グラニュー糖6%分の糖分しか溶け出していないということ。

 

mash

 インフュージョン 65℃ 60m

 マッシュアウト 76℃ 10m

 スティーピング 77℃ 15m (バッチA)

boil

 60m

hop & spice schedule

  チヌック    8g 60m

  クリスタル   7g 0m

  シムコ(cryo)    4g    2nd Dry hop

 IBUs=32.0

 ※一応USペールエールを目指してみた

Yeast

 Wyeast 1056 American Ale

 

 こちら、スティーピング中のクリスタルモルト

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 結果がこちら。青線がバッチAの比重遷移。グレーの線がバッチBのFG(遷移は計測していない)。

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 バッチAの比重のほうが高くてホッとしたが、その差は0.003で微妙。糖の量にして全体量の3%しか変わらない。投入したグラニュー糖の構成比が6%なので、スティーピングで得られるデキストリンは40~50%程度ということになる。

 

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左がバッチAで右がバッチB

 

 飲んだ感じ、ボディの違いは判らない。バッチAはカラメル感が強くて尖っている印象がある。

 結論として、高温スティーピングはボディ強化に効果があることがわかったが、小麦や押し麦を使うほうがFGには有効であると感じる。プロテインがFGを上げるとのことだ。実際、前回造ったAmerican Witのほうが今回よりOG低いのにFGが高い。スティーピングと合わせ技で使えばいいのだろう。

 

以上。