昨年、CaraPils(デキストリンモルト)を80%使ったレシピが低FGになってしまい、デキストリンとは何ぞや?と首を傾げたのがこちらの記事。
最近思うことは、モルトの中にいるアミラーゼ酵素は想像以上に働き者。ベースモルトの割合が低かろうが温度が少しばかり高かろうが、元気にチョキチョキとデキストリンを切ってしまうと感じていた。そんなとこへ、酵素が死んでしまう高温でクリスタルモルトをスティーピングするのがボディ強化によいのでは?という情報をもらったので、今回ボディチャレンジと銘打って試してみた。
実験方法はこう。
- ベースモルトを通常マッシングして、14リットルのウォートを作成
- マッシュアウトは10m@76℃で、しっかりと酵素を失活させる
- 二つの鍋A/B に、ウォートを7リットルずつ分ける
- C40とC80を使ったスティーピングを77℃で実施
- スティーピングした水溶液2リットルを鍋Aに追加
- 「4」と同糖度になるグラニュー糖を入れた水溶液2リットルを鍋Bに追加
- その後はいつも通りボイルして冷却し、同じイーストを投入
これで、AバッチがBバッチに比べて高比重になれば、酵素失活後の高温スティーピングはボディ強化に有効だということになる。
一応レシピをUPしておく。カラメルモルトはスティーピングしかしていないので、構成比に対して糖化効率が悪い。もったいない使い方をした。
Batch Size
バッチA 6.5リットル
バッチB 6.5リットル
malt
バッチA
ピルスナー 78%
クリスタルC40 11%
クリスタルC80 11%
SRM=12.8
バッチB
ピルスナー 94%
グラニュー糖 6%
SRM=3.7
※けっこうな量のクリスタルモルトを使ったのだが、グラニュー糖6%分の糖分しか溶け出していないということ。
mash
インフュージョン 65℃ 60m
マッシュアウト 76℃ 10m
スティーピング 77℃ 15m (バッチA)
boil
60m
hop & spice schedule
チヌック 8g 60m
クリスタル 7g 0m
シムコ(cryo) 4g 2nd Dry hop
IBUs=32.0
※一応USペールエールを目指してみた
Yeast
Wyeast 1056 American Ale
結果がこちら。青線がバッチAの比重遷移。グレーの線がバッチBのFG(遷移は計測していない)。
バッチAの比重のほうが高くてホッとしたが、その差は0.003で微妙。糖の量にして全体量の3%しか変わらない。投入したグラニュー糖の構成比が6%なので、スティーピングで得られるデキストリンは40~50%程度ということになる。
左がバッチAで右がバッチB
飲んだ感じ、ボディの違いは判らない。バッチAはカラメル感が強くて尖っている印象がある。
結論として、高温スティーピングはボディ強化に効果があることがわかったが、小麦や押し麦を使うほうがFGには有効であると感じる。プロテインがFGを上げるとのことだ。実際、前回造ったAmerican Witのほうが今回よりOG低いのにFGが高い。スティーピングと合わせ技で使えばいいのだろう。
以上。