イーストの素性変化

 4月からWyeast 1084 Irish Aleを瓶底培養して何回か醸造したわけだが、ちょっと問題が出てしまった。発酵中の硫黄臭がひどくてしょうがないのだ。培養直後の試験醸造は2次発酵期間が短くて、ボトルまで硫黄臭が残ってしまって開栓後も臭い。そんなもんなので何本か捨てた。

 Sulferを生成するイーストがあるので不思議なことではないが、このイーストに限ってはそれがないはず。じゃあSulferがどこから発生したのかというと、細菌(バクテリア)だ。イーストに細菌が混ざってしまっているということだ。

 よどんだ水のどぶ臭さ、あれは細菌が有機物を分解してSulferを排出している。人間はそのような状態を「腐っている」と判断するためSulferを忌み嫌う。しかしこのSulfer、揮発するという救いがある。イーストや細菌が発酵中にSulferを吐き出しても、長い2次発酵期間を経ればきっちりと抜けてくれる。

 さて、そんなイーストだがどのように素性が変わってしまったのか?せっかくなのでそれをしっかり記録しておきたい。

 

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 こちらに、おなじイーストを使った醸造の記録。黄色の「4/22 Red Ale」が培養前のWyeast1084。それから1年後の「4/21 starter」が瓶底培養。5/11,5/26と2回使った発酵度の状態を比べてみる。

 このイーストの特長は、爆発的な発酵度。黄色ラインの急角度を見ていただきたい。これが瓶底培養後の4/21と5/11では、なだらかになってしまっている。そして、「5/26 Milk Stout」でかつての面影が見える。もしかしたら、数回の再利用でアルコール滅菌を経てバクテリアが減衰しているのかもしれない。次の醸造はもしかして・・・。

 しかし、5/26の醸造を最後にこのイーストは捨ててしまった。このグラフをつくったのは今日だし、当時は発酵中の臭いが嫌で嫌で捨てることにしたのだ。

 イーストの純粋培養の技術があればと思うけど、個人でそんなの難しいし、こうやって経験値上げてトラブルシューティングするしかない。でも微生物たちとの戯れは、これはこれで面白かったりするので、やっぱ醸造は自分みたいな性格の人間には最適なホビーだなと感じる今日この頃です。

 

以上。