IPA(Ver201611)

 自分がビールに目覚めたのはIPAを飲んだのがきっかけだった。IPAはIndian Pale Aleの略。高いABVとIBUが特徴で、苦くて華やかで、陽気さが湧き上がる。今まで飲んでいた日本のスッキリしたラガーとは全く違う味に驚き、自分の鎖国的だったビールの世界に、新大陸が突如あらわれた瞬間だった。

 そんなもんで、今までつくったビールスタイルで一番多いのはIPAだ。今日は最近の自分のIPAレシピを公開する。その前にいつものようにIPAの勉強~。

 

beersmith.com

 

以下に、ざざっと直訳。≪≫にいつものように自分の感想やら所感を挟んでおく。

  History

  IPAの起源は、ペールエールが出始めた17世紀の英国にさかのぼる。17世紀には石炭を使った新しいキルンが使われて、淡色モルトの製造が可能になり、淡色ビールが出回った。人気のペールスタイルの一つに、October beerと呼ばれる、長期保存のためにたくさんホップを使ったスタイルがあった。これはドイツのOktoberfest beerとは関係ない。

 ジョージ・ホジソンのBow Breweryは、1700代に東インド会社の業者の間で人気となったOctober beerを醸造した。東インド会社はその後ホジソンのビールを大量に輸出した。抗菌作用の強い高ホップ、高比重、高発酵率は、インドへの長い旅路に有利で人気になった。

 Bass やAlsop、Saltなどのバートンのメジャー醸造所は、ビールの高い関税のためロシアでのマーケットを失っていた。かれらはOctober beerを早急に真似してインドに輸出した。そのスタイルは、1840年あたりでは英国で一般的になり、現在では共通した名前”India Pale Ale”で呼ばれている。IPAの起源というと、イギリスからインドに運ぶために、抗菌作用の強いホップをたくさん入れて、高アルコールに仕上げたんだよ~という話が一番初めに出てくる。それに対して、イギリスで昔からあったスタイルなんだよ~という意見も出てくる。それがOctober beerと呼ばれている長期保存用のスタイル。どっちも正解で、この記事はIPAが確立されていった社会全体の背景を含めて、短く説明してくれている良い記事だとおもった。≫

The IPA Beer Style

 IPAはイングリッシュモルト、ホップ、イーストで醸造されるかなり強いペールエール。アメリカンバージョンはよりモルトフレーバーがはっきりしていて、アメリカの材料が使われる。BJCP2008スタイルガイドでは1.050~1.075のOG、高い発酵率のイーストをつかってFGは1.010~1.018でABV5~7.5%に仕上げる。≪アメリカンIPAって8%超えが普通になってないか?≫

 複数種類のホップ添加がIPAのフレーバーをいろどる。イングリッシュIPAは通常IBU40~60。インペリアルIPAはIBU120。

 色はペールエールに近く、ゴールデンから銅褐色で、SRM8~14。炭酸は穏やかで、イングリッシュIPAは軽炭酸。

Brewing an IPA 

 IPAのフレーバーはホップが支配的。添加するホップの選択が成功の鍵となる。伝統的なイングリッシュIPAはFuggles、Goldings、Northdown、Targetなどのノーブルホップで仕上げる。ビタリングにもまた高α酸イングリッシュホップが使われる。アメリカンIPACascade、Centennial、Willametteのようなアメリカンホップが使われる。ビタリングには高α酸ホップが使われる。

 ほとんどのIPAで数種類のホップを使う方法がとられ、ビタリングホップはボイルの始めに投入する。ボイル終了の5~15分前にも投入し、アロマのためにドライホップをする。一般的に高α酸ホップはボイルで添加して、アロマティックな低α酸ホップはドライホップかボイル終了間際にいれる。伝統的なイングリッシュIPAは全体を通して低α酸のイングリッシュホップをつかう。≪イングリッシュIPAはそれだけたくさんホップを入れるっちゅうことですね。やっぱり買うときは多めに仕入れることを勧める。≫

 ベースモルトは伝統的なイングリッシュ2Rowペールモルトで構成し(アメリカンIPAはアメリカン2Rowモルト)、たいてい85~90%。クリスタルやカラメルモルトはカラーとボディを達成するために使用する。チョコレートやブラックモルトはあまり使わない。たまにホームブリュワーなどで使われることがある。著者は適度な色のカラメル/クリスタルモルトを好む。たまにボディを強化するために小麦やフレークバーレイ、Carapilsを加えるが、それらはまれで少量に。

 多くのIPAはイギリスのバートンで仕込まれた。バートンの水質は高濃度の炭酸カルシウムで、ホップを引き立たせる。自分の地域の水質に合わせてGypsum(CaSO4)を少量加えることで、バートンの水質に近づけることができる。

 イーストは伝統的なイングリッシュイーストが使われるが、高い発酵率のイーストを選ぶことに注意する。多くの醸造家は、きれいに仕上げるためにアメリカやカリフォルニアイーストを選択する。

 マッシュは低い温度で行い(150Fで90分)、ホップを際立たせるために複雑な糖分を分解させる。≪補足。低い温度でマッシュすると発酵しやすい糖がでる。逆に高い温度にするとデキストリンという酵母が食べられない複雑な糖?ができる。≫

 発酵/貯蔵は65F程度。モルトとホップのバランスをとるために、長い貯蔵期間が必要なことがある。

 

以上HPより。

 

 ちなみに、ヤッホーブルーイングのインドの青鬼は伝統的なイングリッシュIPA。すごく草っぽくて苦いのがイングリッシュIPAだ。アメリカンIPAは柑橘系の香りでホッピー。アメリカンの方が華があるので人気あるが、真面目にイングリッシュIPA作っているヤッホーはさすがだ。

 最近の自分のレシピを公開。なんだか上記のHPに忠実とは言えない作り方をしている。Carapilsを大量に使ったり、高めの温度でマッシュして濃厚ボディを狙ったりしている。ホップスケジュールはBreakside のWonderlust Cloneをまねた。

 

malt

US 2row 80%

Carapils  20% 

mash

protein rest 50℃ 30m

infusion  69℃ 75m

mash out 74℃ 15m

boil

60m

hop schedule

mosaic 14g 60m

simcoe 9g 15m

cascade 7g 10m

amarillo 8g 0m

citra 8g  dry hopping 10day

mosaic 8g dry hopping 10day

IBU52.5

Yest

WLP090(San Diego Super Yeast)

 

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 想像以上に苦めに仕上がったが、ボディとのバランスはわるくなく満足している。今度作るときは基本に戻ってみるかな。

 

 以上。