培養失敗 2018/7

 世に体験談はたくさんあるが、そのほとんどが成功体験であると感じる。しかし、その成功体験談のほとんどが、なんらかの広告であり営業活動の一端であることを考えると、世の中には本当の体験談というものは少ないのだと感じる。

 自分も、たいしておいしくない自作ビールを「おいしい!」と誇大宣伝しているのかもしれない。自分をアッピールするために、どうしてもそういうエッセンスがこのブログには滲み出してしまっているだろうと思う。

 それでもなお、このブログを見てビールを造ろうと思った人がいるのでは?と、そういう人たちに向けて有意義な情報を発信できるブログでありたいと思い、「失敗作」カテゴリで本当の体験談をまとめて行くことにした。このカテゴリ意外の情報は、話半分(または個人の感想)と思っていただければ幸いである。

 

 さて、最近の醸造で連続してコンタミしたのだが、その一つ、ラグニタスIPA培養イーストを使用した醸造失敗について報告する。

 

まずは入手経路。

・ビアバーで「ラグニタスIPA」の瓶を飲んで、その瓶を鞄に入れて持ち帰る。そのとき瓶の口はふさいでいなかった。ちなみに、同時に「エルディンガーヴァイス」の瓶も同じように持ち帰って培養している。

 

培養方法

・瓶の中に、低比重のウォートを投入して、瓶の口をアルミホイルでふさぐ。同時に、エルディンガーヴァイスは、ビーカーに移して低比重ウォートを投入。

 

 その結果、「ラグニタスIPA」の瓶からはこんなキモいイーストが取り出せた。そして、このイーストを使って仕込んだビールは…。いや、「ビール」という名前を付けることも憚れる、すえた匂いの最悪なアルコール飲料が完成した。

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 対して、こちらの写真は、エルディンガーヴァイスのビーカーに移行したイースト。写真で使っているビーカーが一つしかなかったので、エルディンガーヴァイスを優先したのだが、エルディンガーイーストで醸造したビールは、味はともかく、「ビール」と呼べるものを作ることができた。

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 何が、この二つのビールイーストの違いなのだろう。温度やウォートの比重など、ほぼほぼ環境も同じなのだが、ここまでの違いは何なのだろう。

 

 それが最近解決した。先日、ビアバーで同じ「ラグニタスIPA」を飲んだのだが、瓶を逆さにしてもビール酵母らしきものがまったく出てこなかった。「ラグニタスIPA」は、過去に培養に挑戦したことがあるのだが、その時は確かにイーストらしきものを発見できたはずなのに。その時の記事がこちら。

 

vvm.hatenablog.com

 

 ここから推測するに、US現地のラグニタスIPAと、輸出用のラグニタスIPAでは濾過の仕方を変えているとか、最近のラグニタスIPAは完全濾過するように変わったということなのだろう。なんにしても、自分はビール酵母の培養をコンタミで失敗したというわけではなくて、野生細菌をすこやかに培養したというのが、今回の失敗なのだ。

 

教訓

培養前に、ビール酵母が入っていることを確認しよう!

 

また、この失敗は、培養イーストの上澄みをなめれば一発で分かったことなので、当たり前のことなのだが、こちらの教訓もあげておく。

培養イーストの使用前に、上澄み飲んで判断しよう!

 

 こんな当たり前のことを書かなきゃいかんて、失敗談きついっすわ。そりゃみんな書かんわ。