2020年上期振り返り

  気づけば10月。2020年上期の醸造ビールたちを振り返っていこう。

 

上期 4月~9月に飲んだビールが対象
下期 10月~3月に飲んだビールが対象
小バッチの試験醸造品は対象外

 

  • 4月 ガツン、とIPA

古き良き時代のIPA(Ver202002) - homebrew diary

 

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 最近のトロピカルIPAに食傷気味で、かつての苦いIPAが飲みたくなって醸造。満足な出来だったが、個性が強すぎて飲み進まないのが欠点。だけど、肉料理と合わせるとスイスイ飲めるおどろきの作品。及第点。

 

  • 4月 マッシュ効率チャレンジ

マッシュ効率チャレンジ(Ver202003) - homebrew diary

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 ビールの色を薄くするためにはモルトの使用量を減らす≒マッシュ効率を上げる。この仮説を証明するために、デコクションに挑んだ作品。出来は、見ての通りなんか汚くて、大手のゴールデンラガーの足元にも及ばない。しかし、マッシュ効率が爆上げで、楽しくなってしまい、この後しばらく試行錯誤の旅に出ることになる。

 味はどうだったろう。それほど記憶がないので、そんな出来だったってこと。

 

  • 5月 ホワイトIPA

もみ殻を使ったホワイトIPA(Ver202003) - homebrew diary

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 ホワイトIPAはレギュラー醸造にするため、イーストやホップの組み合わせを調整中で、この作品はWLP029を使用。わりと良い出来だった。発酵中のウォートの味見ではげしい苦渋さを味わい、もみ殻を疑ったが、実はゼラチンの煮沸が影響していたことが最近判明した。

 

ケルシュ(Ver202004) - homebrew diary

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 WLP029を使ったケルシュ。これうまい。ケルシュのハチミツのような香りがばっちりですっきりした味。ところで、ケルシュがハチミツ香って思っているのは俺だけですかね。どんな解説みても出てこない。多分、俺の表現の仕方が間違ってるのかもしれない。バカ舌なので勘弁。

 

  • 5月 オーディナリー・ビター

オーディナリー・ビター(Ver202004) - homebrew diary

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 OMEGAのBritish AleⅢを使って、春のイングリッシュエール祭り開催。このビール、当時は戸惑う出来だったが、飲めば飲むほどおいしい。イングリッシュエールの鬱陶しさがなく、香ばしいモルティがさらりと舌の上を流れる。お茶のようにサクサク飲める感じがよい。 当時はなんかよくわからなくて、イーストがイマイチと捨ててしまった。

 

  • 5月 イングリッシュIPA

イングリッシュIPA(Ver202004) - homebrew diary

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 イングリッシュエールイーストを使って、イングリッシュホップを使ったIPAを作ってみた。イマイチだった。イングリッシュエールは、イーストを改めてもう一回挑戦しましょう。

 春のイングリッシュエール祭りは、早々に幕を閉じる。

 

  • 6月 セッションIPA with ストラータ

セッションIPA(Ver202005) - homebrew diary

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 WLP090を使って、夏のウェストコーストIPA祭りが前倒しで開催された。この回は、ストラータという最近流行のホップをシングルホップで使用。美味しかったです。

 ストラータは、ほんのりとしたストロベリー感が面白い。また使って見たい。このホップのことを調べようと思ったら、USパイセンの記事より、日本の記事のほうが多く出る。こういう状況はちょっと危ういと感じる。

 

  • 6月 セッションIPA with ソラチエース

セッションIPA(Ver202005-2) - homebrew diary

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  ソラチエースとアマリロで造ったセッションIPA。ものすっごい腐ったミカン感のIPAが出来上がった。ソラチエースが舞台をぶっ壊している。ソラチエースの破壊的衝動は性格的に嫌いじゃないけど、このビールの腐ったミカンの苦さは、好きじゃない。

 

  • 7月 ホワイトIPA

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 これ、とてつもなく苦く出来上がったんだよな。ウエストコーストIPA用のイーストでホワイトIPAを造ることは二度とないだろう。

 WLP090に代表されるウェストコースト用イーストは、とにかく主張しない。何も引かない、何も足さない。それゆえか、使うホップを一つ間違うと、そいつ前面になってしまう。前回の「セッションIPA with ソラチエース」では、ソラチエースが場を崩してしまい、今回のホワイトIPAでは、ネルソンソーヴィンが場を崩したと思っている。

 イーストのエステル香を織り交ぜて、全体を複雑にする方が自分は好きだな。と経験した回でした。

 

  • 7月 グリーンIPA

グリーンIPA(Ver202006) - homebrew diary

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  余った、not アメリカンホップを使ったIPA。使っているイーストはWLP090なので、イングリッシュIPAとは明確に違うスタイル。 当時の感想では問題作と言っていたのだが、これが、最近めちゃめちゃ旨い。花の蜜のようなほんのりとしたアロマとフレーバーが心地よい。俺が俺がと前面に出るホップがなく、ウフフキャッキャとホップたちが恥じらってる感じがたまらない。WLP090を使った6連作の中で一番の出来だと思ってる。

 ウェストコーストイーストって、裏方ホップを際立たせる方に使うと面白いかも。と感じた作品。

 

  • 8月 ドライホップチャレンジ

ドライホップの勉強 - homebrew diary

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 ドライホップの勉強作品。この勉強のおかげで、最近のドライホップは、お茶パック無し1週間だけ漬ける形で落ち着いた。当時、開栓したばかりのビールがクソまずくて出家したくなったのだが、最近これもおいしんだよね。今度から1ヵ月くらい寝かせてから評価するようにするかな。

 

 記事にしていないことに今気づいた。WLP090を使った最後のIPA。 エルドラド、ギャラクシー、モザイクを使ったIPA。開栓して飲んでいるが、まぁまぁ。しかし「グリーンIPA」に敵わないから、俺のホップブレンドのスキルがまだまだ白帯なんだろうな。ホップについては、今改めて勉強中。情報が多い分、けっこう大変。

 

  • 9月 アードネス・セゾン

アードネス・セゾン(Ver202008) - homebrew diary

  

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  WLP090にお別れして、秋のアードネス祭り開催。状態の良いイースト捨てる時って、ものすごく心が痛みませんか?しかし新しいイーストが良い香り醸すと、とたんに別れたイーストのことは忘れる。そんな自分の性格を改めて思い出させてくれるのも、醸造の良い側面。と、良い話っぽくしておこう。

 で、肝心な完成度だが、かなり高い。このイースト、 少し香味のあるモルトのほうが合うのかも。イースト自体はとても複雑なフルーティさを醸し、発酵中の香りに心躍るのだが、舌に乗るとそれほど踊らない。その代わり雑味ゼロで、ホップとモルトの角を落として底上げする方に貢献すると感じる。うーん、旨い。

 

総括

 今回は6か月で、14醸造13作品(1醸造は試験醸造)。夏にもかかわらず、1つも腐らせなかったのは評価できる。それというのも、7~8月中は2次発酵を短縮するように工夫したのだ。いつもなら冷暗所で2週間なのだが、夏は冷暗所でも27度を超えることが分かったので、2次発酵はワインセラーで1週間だけに短縮したのだ。あ、それで開栓時の味がイマイチなのが多かったのかも。

 その他、今期はマッシュ効率にこだわって試行錯誤した。その流れでモルトミルも購入したので、醸造工程を安定させるまで時間がかかってしまった。おかげでマッシュ効率は平均して90%行くようになったし、タンニンの渋みが収まってると感じる。マッシュ効率向上のためには、ちゃんとスパージングすることが大切。上から下に静かにゆっくりと水を流せば、モルト滓に糖分が残ることはない。

 今期のベスト作品は迷う。全体的に失敗作がなく及第点だが、突出したビールが無いとも感じる。選ぶなら4月のケルシュか、7月のグリーンIPAだろう。うーん、選べない。

 

 以上。