アメリカンラガー連作(Ver202109~202201)

 昨年9月から今年1月まで仕込んだアメリカンラガーについて振り返りましょう。
 使用したイーストは、Wyeast 2007 PILSEN LAGER。

 こちらサマリ。

No 醸造 瓶詰 サイズ 特長 酵母数(billion) 評価
1 9/12 10/16 11ℓ 正統ラガー 100 普通にうまい
2 9/26 10/31 11ℓ IPL 132 ホップバランスが良くてうまい
3 10/25 12/04 20ℓ 工業ラガー 155 薄いがうまい
4 11/02 12/25 11ℓ ダークラガー 129 マイルドなダーク でうまい
5 01/23 03/05 11ℓ バド 124 甘くフラワーでうまい

 
 レシピはこちら参照。
初手ラガー(Ver2021109) - homebrew diary
IPL~ホップ探求篇~(Ver202109) - homebrew diary
スーパードライ・クローン(Ver202110) - homebrew diary
シュバルツなのか?(Ver202111) - homebrew diary
バド・クローン(Ver202201) - homebrew diary

No1 初手ラガー

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 イーストの肩慣らし回。スターターは造らず、開封したばかりのイーストを投入。なので発酵まで4日かかっている。ちょっとドキドキした。モルト100%のラガーで旨かったな。このイーストは清澄度が高いと思うのだが、この回はずいぶん濁っているのが不思議。

No2 IPL~ホップ探求篇~

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 この回もイーストの肩慣らしで、ホップブレンド探求のためIPLを醸造した。このイーストの特長はマイルドスイートだと思っているので、ドライホップの柑橘感と合わさるとフルーツ感が出てとても良い。苦みが強かったのは、ホップ入れすぎだと思う。IPL用のイーストとしてはGoodかも。
 

No3 スーパードライ・クローン

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 満を持して20リットル仕込んだ、このイーストの本番回。アロマが大手ラガーの缶を開けた時の香りとまったく同じで、ちょっとビビった。色は薄すぎ。モルトがすくなかった。今レシピを見返したらグラニュー糖も入れてる。それはやりすぎだべ。味はスーパードライとバドの中間のような味。一時期バリバリに仕上がって、かなりおいしかったけど、最近劣化してきた。あと最近はカーボが入りすぎてるって感じがする。うーん。そろそろケグでフォースカーボを…。

No4 シュバルツなのか?

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 この時はシュバルツと思って仕込んでいたのだけど、よくよく考えたら、インターナショナルダークラガーであることに気づいた。だってアメリカンラガーイーストなんだから。このイーストの特長であるマイルドスイートがローストモルトと喧嘩せずバランスが取れて、とてもうまい。味の波がなく穏やかで優しいブラック。スーパードライのドライブラックに近い。

No5 バド・クローン

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 最後。スーパードライ・クローンが薄すぎたので、モルト量を増やした作品を造りたくなった。それがバド・クローン。色は完璧な大手ラガーじゃないだろうか。清澄度も高い。アロマはすこしマスカットのようなフルーティ。口に含むと、甘さと苦さとコク、渋みが完璧なバランス。若干甘さが勝りすぎかな。しかし、このレシピは完成している。

総括

 このイーストはマイルドスイート。これに尽きる。ボヘミアンラガーのような重厚さを望む人には「薄い」と感じるかもしれない。しかし味が穏やかで、飲む人の口の中をコントロールしやすいビールを造るなら、このイーストだと感じる。この系統のイーストを選ぶことで、スーパードライやバドは万人に受けるビールを造ることに成功した。
 話が脱線するが、最近思うのはスーパードライって旨い。「スプーンを舌に押し付けた味」と評価する人も過去にはいたが、その批評家は横山大観の絵を朦朧と悪意を持って評価した批評家なのではないだろうか。自分自身もバカ舌なので、スーパードライのキレの中に残るほのかな甘みに今まで気づかなかった。しかし、気づいてしまうとそれがクセになって、スーパードライに手が伸びる頻度が上がった。特にリニューアルしてからは、よりマイルドスイートになっていて、とても美味しい。
 話を元に戻すが、イーストが持つひとつひとつの特長のなんと美しく素晴らしいことか。今期も素晴らしいラガーイーストでした。

以上。