London Aleは気難しい?

 2023冬シーズンで使っているエールイーストの報告。今回使用しているのは『Wyeast 1028 London Ale』。ロンドンエール と聞くと『Wyeast 1318 London Ale Ⅲ』がNew England IPAで有名ではないだろうか。そっちがⅢなら、こっちは初代だろう?よりクラシックなロンドンエールを味わえると期待。フラーズとか。

 Wyeast HPの説明はこちら。
https://wyeastlab.com/product/london-ale/

 クリスプでほのかなフルーティって紹介文が心地よいね。高比重系エールで使用されるようだ。適合するスタイルを眺めると、ブラウンエール、スタウト、ポーターとみんな黒い。ビターがないのは誤算だった。フラーズクローン造れんがな。

 このイーストで4回仕込んだ結果を以下にまとめる。

回数 ピッチレート 発酵温度 スタイル 評価
1回目 9bilion/ℓ 20℃ Brown Ale 焦げ感あるがウマい
2回目 13bilion/ℓ 20℃ Imperial IPA 甘くて苦くてウマい
3回目 14billion/ℓ 20℃ Porter 甘くてロースティでウマい
4回目 9billion/ℓ 18℃ Pale Ale

 
 何回か使って思うのは、このイースト難しい。こちらに4回の醸造の発酵遷移グラフを示す。グラフはいつも通り、12/24を1日目として、別な日に仕込んだバッチのデータを合わせ込んで表示。

 発酵開始すると1日でガツンと比重が下がる。爆発的な減衰はWyeast 1084 Irish Aleに似て、ブリティッシュイーストの系譜を強く感じる。このイーストの何が難しいって、ガツンと下がった後に速攻でイーストが寝てしまい、FGが下がり切らないのだ。スン…と寝てしまう。3rdバッチなんて、2日目以降まったく下がらない。しっかり下がったなと感じたのは1stバッチだけだ。まったくの素人考えだが、元気なイーストの密集度が関係しているのでは?と感じる。
 理由は以下。
 ・イーストが元気ない1stバッチの減衰がなだらかで長い
 ・ピッチレートを下げた4thの減衰が、3rdよりまし

 このイーストでググると、FGが高くて困っているという投稿を散見した。よくある有識者の回答として「マッシング温度が高すぎてイーストが消費できない糖が生成されている」とか出てくるけど、そういうレベルじゃなくFGが高いんだよな。また、計測用に比重計に取り分けたウォートと本ウォートの比重がけっこう違う。本ウォートの方が0.003~5くらい低い。これを見るに、消費できない糖じゃなくてイーストの状態と勘ぐっている。ちなみに、ブリティッシュ/アメリカンエールイーストは、アンダーピッチは避けるべしという経験則で高めにしているが、高すぎも良くないってこと?
 どうしたら最適な発酵になるのか頭を悩ませている。

 次回は造ったエールの評価を行う。

 以上。