ブラウン・エール(Ver202312)

 表題のブラウンエールを仕込んだ理由は、ブラウンエールを飲みたくなったんじゃなくて、単にブラウンモルトを使いたいという、不純な理由だったりする。
 ブラウンモルトをご存じだろうか。自分が初めてブラウンモルトという言葉に出会ったのはどこかのホームブリュー掲示板で、Denny Connが造ったレシピからブラウンモルトを抜いて挑戦した人がいて、それを観たDenny Conn本人が「なぜブラウンモルトを抜く?」と懇々と問い詰めていたのだ。レシピにこだわるDenny Connの厳しい姿勢と相まって、ブラウンモルトの印象が強く残った出来事だった。
 ブラウンモルトはCRISP というモルトスターが製造している60~80SRM程度の濃色モルト。強すぎないローストで、苦すぎず甘すぎずのバランス感があり、深いフレーバーをビールに与える。このモルトは歴史が古く、18世紀のポーターにまで遡る。その後、ペールモルトの方が醸造効率が良かったり、より少ない量でビールを黒くできる高温焙煎のブラックモルトが登場して、だんだん姿を消していくことになった(Webのつまみ食い調べ)。そんな切ないところもまた良き。

 前置きが長くなってしまったが、こちらレシピ。



バッチサイズ 11ℓ
モルト % ホップ g@m
マリスオッター 79 EKG 15g@60m
ブラウンモルト 8 EKG 10g@15m
C40 6
カラピルス 5
チョコレートモルト 2
SRM 12.7 IBUs 24


 使用したイーストは「Wyeast 1028 London Ale」で、クラシックなブリティッシュ・ブラウン・エールを目指す。

 こちら完成品。

 瓶詰めの最後の1本で、澱を吸ってしまってちょっと濁っている。他のボトルはもう少し清澄している。このイーストは舞いやすい気がする。色はかなり焦げ茶。スタイルガイドは12~22SRMなんだけど、20超えたら真っ黒やで。これくらいがギリブラウンと思う。
 アロマはややスモーキー。メイプルのような落葉樹の甘い香りも感じる。
 フレーバーは、初速にイーストの特長であるフルーツ感あり。それとモルトの甘みが混ざり、華やかな予感に舌が跳ねる。しかしそれを裏切るように、けっこうな焦げ感が遅れてやってくる。1口目はこの焦げ感のインパクトが強すぎてレシピの失敗を覚悟したが、3口目から「甘み」と「フルーティ」と「焦げ」が波のようにぶつかり合うのがクセになって手が止まらん。おもろ。
 トータルの出来は及第点ってところ。飲む人によっては焦げ味が強すぎて嫌われそうな気もする。スタイルガイドには「ポーターのようなローステッドフレーバーを伴わないモルティ」って書いているのに、今まで造ったポーター以上に焦げ感が強いんだよな。これがブラウンモルトの特長なのかな。入れすぎたか?

 もう少しこのモルトを使いこなしてみましょう。

 以上。