これは、10月末から続くイースト救出の記録である。
とか、かっこよく始めてみたが、自分の醸造スケジュールの未熟さゆえに、イーストを死なせる寸前までいじめてしまった話しである。
話は2016年にさかのぼる。仕事でお付き合いのある方がUSに出張に行くというので、出張先のLHBS(Local Home Brew Shops)の場所を調べ、買ってきてほしいリストを渡したのだ。そのリストにはイーストが8種類も入っており、すべてを買ってきてくれたのだから、当時は飛んで喜んだものだった。
しかし、そのイーストを消費できぬまま2018年。このヤバさ、わかる人はわかるでしょうか。。。
使いきれなかったイーストの中には、Wyeast 1214 Belgian Abbeyがあった。最近、アメリカンなエールには慣れてきたので、違うカテゴリのエールを仕込もうかなと、使うことを思い立ったのが10月。
パンチング初期
まず、パンチングして室温で放置。5日経過しても袋はピクリともせず。耳を近づけるが発酵しているような音は一切無し。これでは埒が明かないと、ガラス容器に移して状態を観察してみることにした。
しかし、見た目もピクリとも変わらない。これがイースト死んだってやつかー、やってしまったなー。と毎日容器を眺め、ため息をついていた。そして2週間が経過し、次の醸造スケジュールを変更しようと考えていたある日、ある声が聞こえたのだ。
VBNC期
それは、イーストの声だった。「ボク、生きてるよ~」と。笑ってもらって構わないが、その瞬間自分はイーストの声が聞こえたのだ。慌てて撮った写真がこちら。
もしかしてこれは生きてる?と幻聴を信じ、Webでいろいろな情報を調べ、ついにVBNCという言葉にたどり着いた。「Viable But NonCulturable」の略で、要するに「生きているけど増殖できない」という状態が酵母にはあるとのことだ。
イーストが弱り切っている状態なので、そうと分かれば次の一手が打てる。低比重のウォートを追加して、エアレーション。これを繰り返せば次第にイーストは強くなるはず。
VBNC脱出期
繰り返した写真がこちら(ピントがボケててすみません)。非常に弱いが気泡を出すようになり、イーストの色も灰色から肌色に変わってきた。これはいける。
こんなことを繰り返し11末、そろそろ醸造に使えるかなと遅延していた醸造スケジュールを進めることにした。それが第二の失敗の始まりだった。
長くなりそうなので、後編へ続く。