マッシュ効率について

 デコクションをするようになってからマッシュ効率が90%を切らなくなって、腕組ベテランホームブルワー面だったのだが、先日ガッツリ効率が下がってしまったので、その原因を考察する。

 

 低かった理由はなんとなくわかっていて、高OGレシピでモルトの量が多かったのだ。最近のマッシュ効率の高さには二つの理由があると思っていて、一つはデコクションの導入。もう一つはスパージング水の多さだ。今回はスパージング水が足りなかったような気がする。

 と言うことで、直近のデータをグラフ化してみた。

 こちらにA~Fの6バッチのマッシュ効率とモルト/マッシュ水/スパージング水のデータを示す。黄色の折れ線がマッシュ効率で、右の軸に%単位で示す。棒グラフは青がモルトサイズでオレンジがマッシュ水、グレーがスパージ水のサイズだ。それらは同じ単位で示すので比率で見てほしい。上の「m」はデコクション時間の「分」表記。バッチAは昔のデコクションなし仕込のデータ。

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 Fが直近の結果でマッシュ効率79.9%。低い。それに比べてB,C,D,Eはいずれも高効率(Dは低めに見えるが、小麦粉を使った醸造で十分高い結果と考えている)。

 このグラフから、デコクション時間はマッシュ効率に影響ないこと。デコクションよりも、スパージング水のサイズが大きく影響していることがわかる。

 

 自分の仕込みのクセで、14リットルの水を作り、そこからモルトのサイズ×2.5Lのマッシュ水を取ってマッシング。残りをスパージング水として利用している。そのため、レシピのモルトサイズに依存してスーパージング水のサイズが乱高下してしまうのだ。

 

 これが事実となると、使用するマッシュ効率を控え目にしてレシピをビルドする。⇒モルト量が多くなる。⇒スパージング水が少なくなる⇒マッシュ効率が落ちる。という悪循環に陥っていたという可能性がある。これって結構恐ろしい事実。

 

 と言うわけで、デコクション無し+ターゲットマッシュ効率90%でビルドして仕込んでみた。その結果バッチGを加えたグラフを以下に示す。

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 結果、デコクションしなくても、ターゲットの90%達成。デコクションを加えればもう少し高くなったのではないだろうか。

 

  こちらに、別な視点のグラフを示す。黄色は先ほどと同じマッシュ効率。緑の線がスパージング水(L)/モルト(Kg)のグラフである。

 

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 このグラフから4.5L/Kgぐらいがスパージング水の最適な値であることがわかる。次回から準備するスパージング水の量をちゃんと計算することにしよう。ちなみに、スパージング水の平均的な値を初めて調べたんだけど、4.2L/Kgとのこと。今回の結果と重なると考えてよいだろう。

 

 今後の仕込みは、

  1. レシピビルド時、最終バッチサイズとOGからモルトサイズを決定(今まで通り)
  2. 1から水の総量を決定(マッシュ水=malt size x 2.5L , スパージ水=malt size x 5L)
  3. 最終バッチのサイズを崩さないように、ボイル時間や火力で蒸発量を調整

 って感じだな。うわーめんど!

 

 

 最後に。

 マッシュ効率がビールのおいしさにつながるわけではない。デコクションをした結果、味のバランスが崩れたことは前回報告した。スパージング水を多くすることによる弊害として渋みが増えるとの情報もあり、ここに書いていることが「正しい」とは思わないでほしい。

 作るスタイルによって、デコクションするか?また、そのデコクション時間やスパージングサイズ、ボイル時間、そして各人の設備の影響を考慮し、それらのバランスをどうやって取るのか。と言うことだろう。

 

 やればやるほど知らないことだらけで、いつになったら免許皆伝になることやら。 

 

以上。