イーストカウンティング

 最近イーストのピッチレートを下げたら、各段においしいビールができるようになったので、イーストコントロールを勉強することにした。その第一歩はなんと言ってもイーストカウンティングじゃなかろうか。

勉強に使ったのはここ、日本のホームブルワーの生命線「WHITE LABS」。
Cell Counting Your Yeast Culture

必要な道具を見積もって購入。
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生物顕微鏡 (x400必要)
・ヘモサイトメータ (ノイバウエル型)
ピペット (5ml と 2ml)
・メチレンブルー

 生物顕微鏡はどんなものか知っているし、x400倍率なら普通に売っているので不安はなかった。あとは単眼にするのか双眼にするのか、ディスプレイ付にするのかなど。自分の選ぶ基準として、故障の原因になる電子機器を極力排除したシンプルを要求。そうしたらナリカの「KS-Ⅱ」がちょうどよかった。
 次にヘモサイトメータ。これは、微生物の数を数えるために1mm^2内にグリッドが入ったガラスプレート。こんなものを使ってカウントすること自体、今回初めて知った。これが高いのよ。調べたらいろいろな種類もあるし、間違えたものを買ったらと思うと不安で不安で眠れない。で、買ったのはこれ。

ディスポ細胞計算盤(C-Chip) Digital Bio 血球計算盤 【通販モノタロウ】 DHC-N01N〜

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使い捨て品にした。これで間違いなければ、ちゃんとしたものを買う。
これ一枚でAとBの2回測定が可能。カバーガラスが一体化しているので使い勝手もよい。

 最後がメチレンブルー。染色液で死んだイーストに色を付ける。これも高いなーと思いながらポチッたのだが、届いたのはメチレンブルーそのもの。0.01%の水溶液でいいのだけど、粉末そのものが届いたのだ。死ぬまでに1/100も使いきれない量を買ってしまった。無知って怖い。

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0.1gを1000mlで薄めた0.01%のメチレンブルー…。


 気を取り直して計測に入ろうじゃないか。
 手順はWhite Labsで解説している通り。

準備

  1. 9mlの水が入った試験官
  2. 9mlの水が入った試験官
  3. 1mlのメチレンブルーが入った試験官

まず、測定したいイーストをよく混ぜて、そこから1mlをピペットで取り出して1の試験官に投入。
1の試験官をよく混ぜて、そこから1mlをピペットで取り出して2の試験官に投入。
2の試験官をよく混ぜて、そこから1mlをピペットで取り出して3の試験官に投入。

これで、200倍に希釈されたことになる。

最後は3の試験官をよく混ぜて、そこから液体をピペットで適当に取り出し、ヘモサイトメータの投入口に垂らす。
垂らすというより、ピペットの口をヘモサイトメータの投入口に接触させたら、スーッと吸い込まれていく。毛細血管現象と言うらしい。

そして顕微鏡で覗きながらカウントする。
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 うーん。これって生きてるの?死んでるの?ってイーストがたくさんある。はっきり青いイーストなんてほとんどない。ちなみに、計測に使ったイーストはWyeastのパックから取り出したばかりのイーストだから、ほとんど生きているのが当たり前ってことでいいのかな。あと、Webとかで見る映像と違って、イーストの黄色い核までくっきりと見える。
 カウントは、左辺と下辺のグリッドに重なるイーストはカウントしない。右辺と上辺のイーストはグリッド上にあってもカウントするという方式らしい。あと、分裂途中のイーストは母イーストに比べて娘イーストが50%以下の大きさの場合は娘をカウントしない(これ、すっかり忘れていて普通にカウントしてしまった)。


 1mm^2をグリッドで区切った25マスから右上下と左上下、真ん中の5マス分のイーストをカウント。その結果144個。と言うことは、1mlに入っているイーストの数は以下の計算で求まる。

144(5マス内の個数) × 5(1mm^2に拡大) × 200(希釈率) × 10^4 (1ml÷1mm^2区画の容量) =  1.44 Billion


この数値は合っているのでしょうか?
WyeastのPackは95gのイーストが入って100Billionと書いているので、100 Billion ÷ 95 = 1.05 Billion/ml だから、なんとなく近くてホッとした。
この誤差は、上に書いた分裂イーストのカウントの仕方や、グリッド上のカウントルールの徹底とか、希釈のやり方とかいろいろあるんだろうな。

しばらく、投入するイーストのカウンティングして、味への影響を確認していきたい。


以上。


おまけ

箱ボコボコ。割れなくてよかった。
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